NHK 視点論点
こないだの「視点論点」の評判がすこぶる良い。嬉しい限りだ。思いっきり緊張しただけあるぜっ!
裏のタナカが「荷受けのセリ人のところに、ちりめんの荷主さんから久々に電話があって
今朝良い話を聞いたっ!それで魚を大事にしてるアンタを思い出して、久々に声が聞きたく
なったっていって、電話がかかってきたそうだよ」と教えてくれた。
その良い話ってのが、俺の「視点論点」だったわけよっ!
そして、すっかり気を良くした単純なよっちゃんは、無謀にも原稿を、政策研究大学院大学教授
小松正之先生にメールして、ご覧いただいちゃったんだ。根はとっても優しい、男前な人
なんだが、とにかく真っ当な人で、間違ったことや、国益を損なうようなことに対しては
歯に衣着せぬ物言いで、敵を論破する。さすが数々の国際交渉をやってきた人物だ。
国際的には「タフネゴシエーター」として、あのアメリカさえも認めざるを得なかった実力
の持ち主だ。何年か前のニューズウィーク誌に「世界が尊敬する日本人100」にも
選ばれ、日本では稀有な存在である、国益のためにはキチンとNOを言える官僚として
高い評価を受けている。今、古賀さんが取り沙汰されているけど、古賀さんと同等もしくは
それ以上の改革派の”元”官僚だ。お二人に共通するのは「元」がつくってこと…
改革派に「元」がついちゃうこの国って、ホントに大丈夫なのかい?
ちょっとビクビクだったが、オッチョコチョイの俺が何を言ったのか、興味を持たれた
ようで、ツイッターで原稿を送れと小松先生から注文がきた。すでに放映しちまったンだから
しょうがねぇだろって開き直って、送っちゃった。
したら、すぐにレスが入り、文字通りの、身に余るお褒めの言葉を頂戴しちゃったんだよっ!
いやぁ~逆に慌てたねぇ~大体俺の人生、怒られることはあっても、誉められ慣れてねぇからさぁ~
ってことで、すっかり気を良くしちまったんで、「視点論点」で使用した原稿を公開しちゃいます。
で、読んでみて、俺が直接語ってるのを聞きたくなったら「NHKアーカイブス」で100円で買える
らしいから、そっちで見てみて下さい。俺の語りもナカナカ良いモンだぜっ!
以下、ワードファイルのコピペです。ちょっと読み難いかも知れないけどご勘弁!
魚食スペシャリスト検定を運営しておりますNPO法人「魚食文化の会」理事長の生田與克です。私、何を隠そう本業は築地市場の仲卸業者です。毎日、魚に実際に触れ、生活をしています。
本格的な冬を前に魚が美味しい季節になってきました。特に私は冬の鍋が大好きです。魚の鍋というのは、魚自身の美味さもさることながら、その出汁をたっぷりと含んだ野菜がメッチャクチャ美味くなります。普段から野菜不足の私には、とても便利で美味しくて有難い料理です。
日本人は古来より、手を変え品を変え、たくさんの魚を、知恵と工夫を駆使し、様々な料理にして美味しく食べてきました。
そんな魚の世界に近年、色々な問題が持ち上がってきていることを、皆さんご存知でしょうか?
漁業の現場では「魚の捕り過ぎ」である乱獲が繰り返され、他国に類を見ない日本の豊かな水産資源が危機的な状況を迎えています。
一昨年ワシントン条約に取り上げられニュースになったタイセイヨウクロマグロ資源の大幅な減少による禁漁という問題は、決して対岸の火事ではないのです。
魚という生き物は天然資源です。そもそも魚自身がもった自然の中で増える能力を超えた漁獲を行えば、資源がなくなるというのはだれにでもわかる、当たり前の話です。しかし行政はこれといった具体的な資源管理政策を実行しないまま、今日を迎えてしまっています。近年その重い腰を上げてはいますが、海外から大きく水をあけられてしまっており、かつての漁業大国日本の姿はみじんも感じられません。
また流通の現場では、デフレが止まらぬ状況の中とはいえ、品質はさておき、安いものばかりを追い求める業者が後を絶ちません。
そして小売店、特にスーパーはデータを駆使し、売上至上主義の売り場を作っています。昔から言い伝えられている、魚ならではの季節感を無視し、誰でも知ってる売れる魚しか置いていません。
かつて小売りの魚屋はそうではありませんでした。消費者が知らない魚でも、漁獲が増え価格が安ければ、その美味しい食べ方を教え、販売していました。このように食文化が伝えられていたのです。
セルフサービスという販売方法によって、販売者から流される情報がなくなり、食べ方を知らされない消費者は魚から離れていきました。
そんな中でも、近年、大型スーパーが魚種を限らず、獲ってきた魚を全て引き受けるという試みは面白いと思いますし、是非広げてもらいたい勇気ある活動です。これには私の本業である魚の仲卸業も何らかの形で協力できるのではないかと思っています。
ただ企業側が努力をしたとしても、消費者がついてこられないというのが紛れもない現状なのです。
私が最も心配しているのは消費者の、食に対する姿勢です。これは魚に限ったことではありません。やれマスコミで、どこそこの何が美味しいと言われれば、蟻のように節操なく群がり、やれ食糧が不足するなんて噂を聞けば、見境なく自己保身のみに奔走する。まったく自分勝手な醜い姿をさらしています。
まさに今は、漁業の現場では乱獲、流通の現場では乱売、そして消費の現場では乱食が繰り返されているのです。
なぜこんなことになってしまっているのでしょう?
確かに原因は一つではありません。しかし私は消費者の魚に対する意識の低さ、もっと言えば、人間のエゴや傲慢さというものが、原因の一つなのではないかと思っています。
例えば、先ほど申し上げたワシントン条約のニュースが流れた時、私は愕然としました。もしかしてこの条約によってマグロが食べられなくなるかも知れません!とのNHKの質問に対し、日本人女性は「ウチの子は寿司屋に行くと、マグロしか食べないんです。だから困るわぁ~」と、のたまいました。
同じ質問をフランス人女性にしていました。すると「私はマグロが大好きだけど、資源が減ってるのなら、私は我慢しますよ」と、とてもまっとうな答えをしていました。
仮にマグロに漁獲規制がかかり、本当に滅多に食卓に上がらないものになったら、どうすればいいのか?
答えは簡単です。我慢すりゃ良いんです。もっと言えば食べなきゃ良いんです。どうしても魚を食べたいのなら、マグロ以外の資源が安定している魚を食べればいい。
記憶に新しいところで、牛のBSE問題が起こった時、とある牛丼チェーンが販売自粛をしました。安全を保つための責任ある立派な行為だと思います。
その時、消費者の慌てようは目も当てられませんでした。普段牛丼なんか食べない人たちまでもが行列に並び、牛丼店に群がりました。
自粛期間に入っても、どこぞの店だけは価格を上げて販売してると聞けば、その店に行列を作る。その姿に情けなさ、恥ずかしさ以外のものは感じませんでした。
そしていま、牛肉の安全性が担保され、通常販売が始まっています。
通りがかりの牛丼店をご覧になってみてください。見事に閑古鳥が鳴いています。あの騒ぎはいったいなんだったのでしょうか?
一方、グルメな方たちにも困ったものです。基本的にグルメを自認する方々の多くは、マスコミによって流された偏った情報を無自覚なまま押し頂き、それがすべてだと思い込んでいます。
例えばマグロ。マグロは青森に限ると言っています。だからグルメな私は青森産のマグロしか食べませんと、平然とのたまう。
例えばブリ。グルメな方たちは氷見のぶり以外は召し上がらないと、おっしゃっています。
本当にこういう話を聞くと怒鳴りつけたくなってきます。
マグロやブリといった魚は回遊魚です。ひとっ所に留まってはいないのです。それに一年中そこで取れるものが美味いとは限りません。
またたくさんのグルメな方々は自分で調理もせず、与えられたものを食べ、能書きだけをこいている単なる評論家に過ぎません。
世のグルメを自称する方たちに申しあげたい。
本当に美味しい魚を食べたいのなら、自分の都合を言うのではなく、海や魚、自然の都合に皆さんが合わせてあげて下さい。自然はあなたに合わせてくれません。
また自分で魚に触れ、ぐちゃぐちゃになっても良いから自分で調理をしてみて下さい。
そうすると家庭でも美味しい魚が食べられるようになるし、どこかのお店に行っても、本当のプロの技に驚嘆せざるを得なくなります。それは自分でやらない限り解りません。
私たち日本人は大自然からの豊かな恵みを享受し、生きてきた民族です。魚はその恵みそのものなのです。せっかく大自然から与えられた尊い命を、もっと勉強し、もっと大切にいただこうじゃありませんか。私どもが行っている検定もそうした思いから始めました。
魚や日本の食を勉強していくと日本人独特の優しさや、自然や生命に対する感謝の気持ちが見えてきます。
私たちは今回、自然の脅威である大震災を経験しました。もしかしたら私たちは食においてでも、傲慢になっていなかったのでしょうか?この機会に、もう一度自然に対する畏れ、そしてそれを受け入れ、感謝の気持ちを持ち、謙虚に生きるという意味を考えてみたいと強く思います。
ってことでした。ご意見、文句、クレーム等々がありましたら、ヘースブック、ツイッターに下さい。
もちろん誉められりゃ単純なよっちゃんは、どこまでも登りますっ!
あばよっ!
