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刑務所で解体ショー

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     すぐにケンカ
 
 
昔むかし、魚河岸がまだ日本橋にあった頃のお話です。

その頃の河岸の人たちの娯楽といえば、何といっても色事。
それから博打に喧嘩ということになりますな。
 

 
博打は「チーハー」、「キツネ」に「チンチロリン」。
もっと手軽なところでは「ジャンケン」と、
河岸引けにはあちこちで打ち興じたようです。
喧嘩の方も日常茶飯事。
売り言葉に買い言葉、それがちょいと高じればポカリ。
でも、そこは心得たもので、手加減もしますし、頃合に仲裁も入る。
手打ちの後は互いにいがみ合ったことなど忘れているという寸法で。
 
 
まあ、こんな娯楽も、どうかすると、ちょいと度が過ぎて、
警察のご厄介になるといったことも、ままありました。
「御用だ」とばかり捕まりますと、
その頃、石川島にありました懲役場に送られます。
 
 
仲間が刑務所に入れられちまった、ということで
さっそく河岸の連中から刑務所に差し入れが届きます。
もちろんこれは魚です。
ムショのなかでこいつでいっぺえ飲ってくれい、ということでしょうか。
 
 
しかし、刑務所の決まりで、魚の差し入れは一尾のみとなっていたそうです。
そこで魚河岸の連中は、なんと大きなマグロを一本差し入れてしまいます。
マグロでも一尾にはちがいないので、刑務所でも許可せざるを得ません。
それに看守たちもご相伴にあずかることができましたから、
「魚河岸者」が入牢すると牢内では「そのうちマグロが届くぞ」と
むしろ期待されたそうですな。
 
 
ただ、さばくことができないということで、
持っていた連中がその場でマグロを解体したという、
これがマグロ解体ショーのはじまりだといわれてます。
 
 
本当にいわれてるかな、
まあ、よく分かりませんが、そんなところでしょう。