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築地魚河岸昔がたり(59) 不買争議(その三)

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        次々と組み上がる鉄骨
 
 
買出人と魚市場組合との確執は水面下で行なわれてはいましたが、
険悪なムードは周囲に満ちておりまして、魚河岸も張りつめた空気につつまれます。
これは治安上何とかせねばならん、ということで、
築地署の清水佐七署長が双方の幹部を招集して、和解を勧告いたします。
このとき同席していたのが魚河岸の顔役、佃政こと金子政吉氏でした。

関八州に鳴らした侠客佃政親分の影響力は少なからぬものがありました。
これまで幾度も魚河岸内のトラブルを解決してきましたから、
「オレにまかせてくれ」と買って出た調停役に魚市場側は心強くしました。
ところが、買出人側は署長と親分に説得に対して威圧感を覚え、
逆に警察と侠客の圧力だと反感を持ってしまいます。
 

 
男気を見せた佃政氏、そこにすがった魚市場側、しかし買出人側がこれを拒否した以上、
改めてこの問題の調停をするには、佃政氏の体面もちゃんと保たなければならなくなり、
さらに問題はこじれてまいります。
 
 
こうしてなすすべもないまま、要求期限の八月十日を迎えまして、
魚市場組合は前回同様、拒絶の回答を午後に買出人連合会に送ると、
たちまちのうちに不買争議が燃え上がることとなります。
 
 
翌十一日、買出人連合会から不買同盟決行の声明文が出され、
消費者に直結する問題だけに新聞各社も社会問題として一斉に取り上げます。
 
 
買出人連合会の実行手段
 一、不買同盟で築地市場に入荷が減った分一日三百トンを横浜、大森、北千住の三市場より入れる
 二、仕入は二十四の各支部ごとに買出総量をまとめ一支部トラック五、六台を用意する
 三、持久戦の場合は生産地と直接取引も考慮する
 
 
これに対して十二日、魚市場組合側も反対声明を出して、これに対抗します。
 
 
魚市場組合側の実行手段
 一、不買決行と同時に、市民および生産者に声明書を発表し、直売の了解を求める
 二、小揚組合その他問屋付属組合員に指令して全市に直売を行なう
 三、他に運搬用トラック三百台、リヤカー五百台を用意し、臨時行商隊を組織する
 
 
こうして双方譲らぬ決戦態勢のまま、
魚河岸の大喧嘩は世間の耳目を集めるところとなったのでございます。
 
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コメント

やった!続きを待ってました!
ゆっくりと読ませて頂きます。

どうもありがとうございます。
昭和以降の河岸の歴史はこんなふうな抗争に明け暮れるのですが、
まあ、こんなこともあったという記録をたどってみようかな、と思います。

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