築地魚河岸ことば “でぶろく”
デブロク【でぶろく】
大きさがまちまち。大小とり混ぜたさま。
「イワシ1ケース買えったって、デブロクじゃねえか」
デブロク【でぶろく】
大きさがまちまち。大小とり混ぜたさま。
「イワシ1ケース買えったって、デブロクじゃねえか」
ションベン【しょんべん】
キャンセルの意。
ションベン―する《動詞》
キャンセルする。とりやめる。
「悪い悪い、今のは――させてくれ」
「おい、アニキそれはねえだろうよ」
類語:ヨシコチャン【よし子ちゃん】
「ああ、そんなのダメダメ、――だ」
やめた方がいい。
バサラもん【ばさら物】
かろうじて商品となっているが、かなり質の落ちるもの。
――や【――屋】、――くみあい【――組合】
バサラ専門の業者。安いものを大量に買って薄利多売をする。
ポンコロ【ぽんころ】
1本(尾)で売買すること。
「こいつ――でいくらだい?」
実際には河岸ではケース売りや目方売りが普通で、
ポンコロで売られるのはトビウオくらいである。
とめもん【留めもん】
①その日のうちに売り切れず残ってしまった魚
②スーパーの特売などで、魚の数をそろえるためにストックする魚
たいへん‐だ【大変だ】<慣用句>
河岸で何かというと使われる言葉。
でも本当に大変なことはまずないといって良い。
市場人は事件好きであって噂好きでもある。
実際河岸では毎日小さな“事件”はひっきりなしに起こる。
「大変だぁ~、包丁で腕落としたそうだ」
「大変だよ~、人が轢かれて瀕死の重傷だってさ」
「大変だよ~ん、○○の店は丸焼け3,4人焼け死んだぴょ~ん!!」
実際には包丁で切ったのは指先だったり、買出人が小車に足踏まれただけだったり、
どこかの店のストーブで焼きイモ焼いてて、3,4本真っ黒こげになったとかいうオチになるわけだが、
とにかく「大変だぁ~!!」と、とりあえず大騒ぎになるが、
1分後には何が大変だったのかすら覚えているものはいない。
あいもの【合物】
塩を合えるという意味で、保存のために塩をあたえる魚を扱う業者を指す。
干物を扱う業者を塩干物(えんかんぶつ)、一夜干のような“半生”を扱う業者を合物といったりする。
あいもの【相物】
魚屋のこと。
中世の教科書 「庭訓往来」に、鎌倉で絹、炭、米、檜物、千朶櫃、相物、馬商という七つの問屋が繁盛したと書かれている。
このうちの相物というのが今の魚屋にあたるといわれる。
東京で魚屋の屋号に「魚」という字をつけるのを、地方では「相」と称するのはその名残り。
うわみとしたみ【上身と下身】

マグロは水揚げされて船上で置かれると、
その後、河岸のセリ場に並ぶときも、仲卸が店に運ぶときも
ずっと同じ向きのままで寝かせる。
このとき上側の方を上身、下側を下身と呼ぶ。
下身には魚体の重みがかかるため、身割れを起こし、
鮮度が落ちるなどといわれ、一般に上身の方が価値が高いとされる。
しかし、実際に上身の方が上質かどうかは、割ってみなければ分からない。
やっつける
威勢良くやる。
「あのマグロをやっつけよう」マグロをおろすの意味。
どれす【ドレス】
魚の頭を取った状態のこと。
ヘッド・レスからきている。
魚の形状を示す言い回しは他に次のようなものがある。
・ラウンド
丸のままの状態
・セミドレス
内臓、エラを取りのぞいた状態
・フィーレ
三枚におろした状態
・ロイン
四半身、フィーレを二つに割った状態
・チャンク
サクの状態
ひね【ヒネ】
売れないままの在庫のこと。
前の年から冷凍庫に眠ったままの冷凍品などをいう。
おととしのものを“ヒネヒネ”ともいう。
ぶどまり【歩留まり】
水産物の場合、可食部分の比率をいう。
魚なら頭やエラ、あら部を除いた部分であり、貝なら貝殻や肝以外。
たとえば、質量100のカツオに対し、三枚におろした場合65%、
刺身用に皮を引くと45%、の歩留まり、などとみる。
すそもの【裾もの】
安いもの。ランクの落ちるもののこと。
相対的な値段の評価なので、裾ものであっても良品の場合もある。
その点では五十歩百歩だが、“バサラもの”よりは上位。

ジャンボ‐まぐろ【ジャンボ鮪】
大西洋クロマグロ(=ホンマグロ)のこと。
昭和40年代よりボストンあたりで漁獲されたものが
羽田に空輸されるようになった。
その頃デビューした大型旅客機ボーイング747、通称ジャンボジェットにちなんで
築地では誰とはなしにジャンボマグロと呼ぶようになったと。
現在は地中海方面のものも含め、成田に空輸される大西洋クロマグロ全般をいう。
ジャンボは象の意味で、転じて大きいものをあらわすが、
アメリカではジャイアントツナと呼んでいる。
【つかまる】
売れ残りを抱えてしまうこと。
売れるのを見越して仕入れた結果、在庫になること。
「こいつにつかまっちまって店が閉められねえよ」
指値で用いる“手やり”
【あげぜりとさげぜり】上げゼリと下げゼリ
卸売市場のオークションには大きく分けると上げゼリと下げゼリがある。
上げゼリは参加者が指値を付けて入札する方法で、
セリ人(セリコなどとも)が現在価格を参加者に伝え、
さらに高値をあおっていく方法で、マグロのセリがこれ。
一方、下げゼリは最初に高値をつけておき、入札者があらわれるまで
徐々に価格を下げていくやり方。花き市場では機械ゼリによる下げゼリが主流。
【ぶっこみ】
でぶろく(大きさがマチマチのこと)の商品を同じ単価で扱ったり、
まとめて売買したりすること。
「構わないから、ぶっこみで頼むよ」などと言う。
くれてやれ【呉れてやれ】《慣用句》
(魚を)持っていけの意。
かつて築地の仲買は小売の魚屋に対してひどく尊大な態度をとることがあった。
魚屋は仕入れた魚が鮮度が落ちていたり、品が悪かったりすると、
当然、値切りの掛け合いとなるが、番頭と交渉していると、奥から主人の
“呉れてやれ”の一声が飛んでくる。
本当に呉れてやれば河岸の旦那らしくてカッコいいが、
実際には八十銭の価値しかないものを一円で売っておいて、
その二十銭を値切りにきた分だけ「呉れてやる」ということだ。
とくに棒手振(ぼてふり)の行商人が多かった時代には、
魚屋は魚河岸の問屋、仲買から一段低く見られていて、
こんな乱暴な商取引がまかり通っていた。
はっちょうろ【八丁艪<魯>】

片側に四丁ずつ合計八つの魯が付いている船。
発動機船が登場する以前、江戸時代中期から明治後期にかけて
最も船足が早く頑丈とされた。
しかしそれでも大海原では木の葉にも等しいもので、
鉢巻にふんどしの素っ裸の男が勇壮な掛け声とともに体力にまかせて海に出て行くが、
出発の勇ましさも、沖にでているうちに大時化となれば、ひとたまりもなく転覆。
漁師の命は果敢ないものだった。
男が死ねば女は後家。
八丁魯は別名“後家船(ごけぶね)”と呼ばれていた。

アタマ【頭】
日本橋魚河岸で習慣的に行われていた「歩戻し」のこと。
百分の一を買方に与えていた。
江戸時代から行われていて、はじめは問屋と仲買との間に限られていたが、
いつのまにか問屋と魚商、仲買同士、仲買と魚商という具合に広がり、
魚河岸の商売は一円につき1銭の「アタマ」というのが、しきたり化した。
築地市場に移って廃止されたが、長年の習慣は根強く、
昭和7年に市場と魚商とに勃発した「魚河岸争議」の遠因にもなった。

よぶ【呼ぶ】
魚を仕入れること。
商売上の言い回し。
似たようなものに、
つれてく【連れてく】
買ってもらうこと。
「良いテエでしょ。アナタのためにわざわざ呼んだんですヨ。
ひとつ連れてってくださいナ」